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台湾産婦人科専門医・リン インメイさん
台湾美容でも注目の「ヒト幹細胞」
美肌づくりは日々のセルフケアから

ナチュラルメイクが映える、透明感あふれる美肌。最近にわかに注目されている台湾女性の美しさといえば、この言葉に尽きますよね。
すっぴんに自信が持てる、潤いに満ちたつやつやの肌はQOLを上げてくれます。
一体、台湾の女性はどんなケアをして美肌をつくり、維持しているのでしょうか。台湾のCardinal Tien Catholic HospitalとSmile Muse Clinicに在籍し、婦人科形成外科などで診療を行うリン インメイさんにお話を伺います。

【目次】
・高額でも美容にお金をかける台湾
・美顔針は当たり前 予防と美肌のベースづくりは漢方で
・エイジングケアで注目されるヒト幹細胞

高額でも美容にお金をかける台湾

——台湾でメジャーな美容ケアを教えてください。

そうですね、前回の記事でもお話ししましたが、台湾ではクリニックを受診することが習慣として根付いているので、美容皮膚科で症状や悩みに合わせて医師が勧めたケアを受けることが一般的です。
そのためトレンドらしいものはあまりないのですが、ボトックス注射やヒアルロン酸を注入する人は多いですね。どちらかといえば、ボトックス注射のほうが充填物ではないため、自然な仕上がりになりやすいと人気です。

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——日本ではクリニックでのケアは高額なことが多いです。台湾ではいかがでしょう。

台湾ではコースで受けると6.5万〜8.8万元(約30万〜40万円)ほど。平均的なお給料を考えると高額なのですが、美容に関心の高い人は効果を求めてお金をかけている印象です。
これには台湾の美容事情があるかもしれません。台湾では、自宅でセルフケアとして使用できる美容アイテムが充実していないのです。いくつかはあるけれど効果が低いと感じている。だから日本を旅行したときにドラッグストアなどでたくさん購入して帰ってきます。台湾にも日系のドラッグストアが進出し始めたので、そこで買うことも。
日本では最近、韓国コスメがトレンドですよね。同じように台湾では日本で流行っているセルフケアアイテムがすごく人気です。少し前ですが、日本で話題になった美顔器が台湾で爆発的に売れたことがありました。また、プラセンタは日本でブームになったときに台湾でも流行して、今では定着しています。

美顔針は当たり前
予防と美肌のベースづくりは漢方で

——東洋医学が日常にある台湾は、美容の面でもセルフケアに熱心だと思っていました。

漢方薬など東洋医学を用いたセルフケアは、どちらかというと予防の意味合いが強いですね。ニキビ予防や肌荒れを起こさないための肌のベースづくりとして、調剤薬局などで漢方薬を調剤してもらって服用します。
中医クリニックと呼ばれる東洋医学の診療を行う医院では、美顔針が人気です。人気というよりスタンダードかな。台湾の女性にとって、“特別なケア”という感覚はないかもしれないくらい当たり前の施術です。
他には「拉提(ラーディ)」という糸を使って皮膚を引き上げる、中医師(東洋医学の医師)が行う施術も台湾では盛んです。

——不妊治療と同じように西洋医学と東洋医学によるハイブリッドなケアはありますか。

意外に思うかもしれないですが、美容においてはハイブリッドなケアは行われていません。この分野では西洋医学のほうが即効性があるということで、主流になっているのだと思います。
それに台湾は医療費が安く、1回200元(約900円)ほどで診察が受けられるので、クリニックが身近な存在です。大きなクリニックで診察を受けるのに紹介状も必要ありません。だから美容に関しても、困ったことがあればまずは西洋医学のクリニックにという考えなのかもしれません。

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エイジングケアで注目されるヒト幹細胞

——予防の観点で漢方、改善は西洋医学の美容クリニックと、目的によって使い分けをしているのですね。

そうですね。炎症を起こしていたり、シミやシワなどできてしまったものに関しては、漢方で治すよりも、レーザーやピーリングなど悩みに合わせた西洋医学の治療を受けたほうがよいと、中医師からアドバイスされることもあります。
台湾には「宛如天生」という言葉があって、生まれたときのような美しさが美徳とされ、自分の自然の美しさを大切にすることへの意識が強いです。なので、できるだけ普段のケアで健康な肌をつくっておきたい。だから漢方薬で日常的に体をケアして、実際に何らかの症状が現れたときには西洋医学を頼る、との考えが浸透しているのだと思います。

——日本では最近、もともと美容クリニックでしか受けられなかった、幹細胞に着目したセルフケアアイテムが増えてきました。

台湾でも美容に関心の高い人の間では人気ですよ。ただ先ほどお話ししたように、まだセルフケアアイテムが充実していないため、基本的には美容クリニックで施術を受けることになります。
老化はテロミアと呼ばれる細胞の寿命に関与する物質が、加齢に伴って短縮することで起こるのですが、幹細胞はこの短縮を予防する効果が期待できるので、エイジングケアの施術としてヒト幹細胞培養液を使うケースは増えています。
ですがヒト幹細胞培養液は施術代が高いので、顔のエイジングケアとしては価格が抑えられるエクソソームを投与する人が多い印象です。

——KNOW YOUR ORIGINの「Beauty Charge -Femcare-」のようなヒト幹細胞培養液を成分としたセルフケアアイテムは台湾にはありますか。

まだ見かけたことはないですね。クリニックの施術でも、萎縮性膣炎や膣内の乾きに対するメンテナンスとしてエストロゲンを膣に投与するものが一般的です。局所的に使用するケースがほとんどなので、「Beauty Charge -Femcare-」のようにヒト幹細胞培養液を用いてデリケートゾーンで体全体をケアするという発想はとても新しいと思います。

WellnessTips>>台湾産婦人科専門医・リン インメイさん 台湾美容でも注目の「ヒト幹細胞」 美肌づくりは日々のセルフケアから——リン先生も肌がきれいですよね。美肌を目指したい方にアドバイスをお願いします。

今は情報があふれているので熱心な方ほど何をしたらいいのか迷いますよね。クリニックにもそういう方は多くいらっしゃいますが、そんなときには先ほどの「宛如天生」のお話をします。
あれこれやりすぎて迷走してしまったら、自分の自然の美しさが何かに立ち戻って、一度ゆっくり考えてみると必要なケアが見えてくると思いますよ。



Profile

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林 英梅(Ying-Mei [Cynthia ] Lin)

台湾産婦人科専門医。Cardinal Tien Catholic HospitalとSmile Muse Clinicにて一般婦人科と婦人科形成外科を担当。国際女性器美容整形協会臨床研究員であり、女性器美容整形にも精通する。一児の母としての経験を活かし、女性の悩みに寄り添う。 

公式インスタグラム https://www.instagram.com/cynthialin1008/