Focus>>ボディワーカー・ソネ ジュンコさん
“一瞬の勇気”で毎日を楽しく! 好奇心と変化を恐れない心で私らしく生きる<前編>

年齢を重ねた分だけ素敵になれる。そんな表現がぴったりな女性、ソネジュンコさん。
ボディワーカーとして自分のスタジオを持ちながら、72歳の現在、ひとり暮らしを心ゆくまで楽しんでいる——。そうしたソネさん流のライフスタイルは共感を呼び、2023年12月にはエッセイ『71歳、団地住まい 毎朝起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)が発売に。
波瀾万丈な人生を辿ってきたソネさんの言葉には、自分らしく生きるヒントが散りばめられていました。

【目次】 

・深く落ち込んでも結果は一緒
・ゼロからのスタートが大好き! 考える余地があるから楽しい

深く落ち込んでも結果は一緒

——40歳で離婚、49歳のときにはお父様の会社が倒産して赤貧生活に、そして61歳で子宮頸がんが発覚と、さまざまな困難に襲われた半生を送られてきました。

本当にわがままな話なんですけど、裕福な家庭で生まれ育ち、大学生のときに出会った、自分と似た環境で育った男性と24歳で結婚。お金に困ることもなく何不自由のない生活でしたが、ずっと心の奥に違和感を抱えていて、40歳のときに離婚しました。
思ったことをすぐ行動に移したい私と、良い子であることを求める両親、そのままでいることを良しとする夫とでは価値観が大きく違い、自分らしく生きることができない状況がとにかく息苦しかったんですよね。
でもとんでもない甘ちゃんだから、離婚後は3人の子どもと共に父の会社が所有する150㎡のマンションで暮らし、役員報酬を受け取って生活していました。そんな中、父の会社が倒産して、マンションを追われて……。ようやく自分の足で人生を歩むことになったんです。
人生で初めて「お金がなくて生活できないかもしれない」という恐怖を経験し、心底つらかった私を奮い立たせたのは子どもの存在で、離婚後に興味があって始めた整体の仕事があったから、なんとか前に進めました。
仕事を頑張ったおかげでお客様に恵まれ、やがて独立。新大阪の駅前に大きなスタジオを構えて、インストラクターの養成なども行うようになった矢先、ステージ3Cの子宮頸がんが発覚したんです。がん細胞が骨盤の中に散らばり手術も不可能な状態。貧しくてがむしゃらだった毎日を乗り越えたと思ったら今度はがんです。青天の霹靂に一度は言葉を失いました。

——幾度のつらい経験がありながら、今のソネさんからは少しもそんな様子が感じられません。どうやって乗り越えてきたのでしょう。

もともと結構なポジティブ思考なんです。「なんとかなるわ」と思っているとなんとかなるの。だから何か起きたときも「どうしよう死んでしまうかもしれない」とか、一旦はすごく落ち込みますけど、「一晩寝たら回復する」って自分に暗示をかけるようにしてます。
そこで、もっと深く考え込んで落ち込んでも結果は一緒なんですよ。何も変わらないんです。だから“落ち込む”というマインドは捨てようと思うようになりました。

ソネジュンコさん

ゼロからのスタートが大好き!
考える余白があるから楽しめる

——わかってはいてもなかなか自分で気持ちを切り替えるのは難しいです。ソネさんがポジティブ思考になれたのには何かきっかけがあるのでしょうか。

私は3人きょうだいの1番上の長女で、大事に育てられました。“お勉強もできるし、親の言うことも聞く良い子”というのが、当時の私の評価。自分でも優等生だと思ってましたし、父が厳しかったので良い子でいることが必要だったんです。ただどこかで居心地の悪さも感じていました。
高校は進学校に入学し、周りは優秀な子ばかり。勉強せずに今までどうにかなってきた私も、周囲のレベルの高さに成績がどん底まで落ちたわけです。そうしたら親がびっくりしてしまって。そのときに優等生の殻を脱ぎ捨てた自分がすごい快感で、別に悪いことをしたわけではないけれど、「道を外れるってこんなに楽しいんだ!」と思ったんですよね。ある意味開き直って自分がやりたいことをやったほうがワクワクするし、実際にやっていけるんだなと。

——他人からどう見えるか、選択が間違っていないか。そんなことばかり考えると行動することを恐れてしまいますね。

もちろんそれで何かを失うことはあるかもしれません。でも、ゼロからスタートするって楽しくないですか? 私、大好きなんです! 準備万端な状態でスタートするより、好奇心旺盛だから自分であれこれ工夫して形にしていくのが面白いんですよね。
49歳で初めて本気で働かざるを得なくなったとき、当然ながら社会人経験なんてないわけです。銀行口座一つ自分では作れない。いろいろな人に聞いてトライしてみて、自分なりに社会性を身につけていきました。そうするとそれが自信になるんです。
子宮頸がんを宣告されたときも、それまで元気が取り柄だったのに体調が優れなくてモヤモヤを抱え続けていたのが、病名がつくことでかえって安心したというか……。確かに一度はすごく落ち込みましたよ。だけど、「ここから自分の体をもう一度見直そう。良くするための道を探そう」って、うつむいてるだけじゃ変わらないなって、気持ちを切り替えたんです。
そうやってゼロからスタートすると考える余白がたくさんあるから、なんでもチャレンジできて楽しい。そんなふうに考えると恐さもなくなりますよ。

ソネジュンコさん


失敗を恐れず、72歳になった現在も新しいことにチャレンジし続けるソネさん。その原動力は好奇心と超ポジティブ思考。ついついネガティブになってしまうときに、そっと背中を押して前を向かせてくれる、優しさにあふれたお守りのような言葉の数々でした。
後編では、ソネさんがスタイル維持に取り入れているエクササイズと、闘病を経て気づいた本当に健康的な食事のコツを教えていただきます。お楽しみに!

(写真/川瀬典子)


Profile

ソネ ジュンコ(Junko Sone)

1952年大阪府生まれ。ボディマイスター。離婚や貯金ゼロ、がん闘病など波瀾万丈の半生を乗り越え、小さなことは気にせず、料理・手芸・洋裁・DIY・パソコンなど、お金をかけずに今を楽しんで毎日を送っている。

公式インスタグラム:https://www.instagram.com/studio.sone/

スタジオ公式Webサイト:https://www.studio-sone.com


ソネ ジュンコ/著
『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』
ダイヤモンド社/刊