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美容・アンチエイジング専門医・黒田愛美さん
「隠れ炎症」を防いで「妊活」の効果を高める

「妊活」として食事に気を配っている方も多いのでは。けれども腸内環境が乱れていると消化・吸収が妨げられ、大切な栄養素を摂っても思うような効果が得られません。
2023年6月に公開した「腸活だけでは不十分!? 『膣ケア』で相乗効果を」で取り上げた通り、腸と膣は密接な関係にあります。
今回も、不妊外来での診療経験があり、分子栄養学などの観点から体づくりとアンチエイジングを提唱している黒田愛美さんに、栄養学の視点で見た「妊活」の効果を高める食事と生活習慣についてお話を伺います。

【目次】
・卵子の質を良くする秘訣は腸内環境にあり
・妊娠に向けた体づくり、ここに気をつけて!
・妊活時の食事&生活習慣は「無理をしない」こと

卵子の質を良くする秘訣は腸内環境にあり

——栄養学の面から、妊活中に摂ったほうがよい栄養素はありますか。

初めにお伝えしたいのは、「〇〇しなければ」と極端な食生活を送ってストレスを抱えるより、なんとなく栄養バランスを意識しながら楽しく食事することを心がけたほうが、心身ともに健康で妊活には効果的です。
その上でお話しすると、前回の記事でお伝えした「ミトコンドリア」がここでも深く関わってきます。ミトコンドリアは私たちの体をつくる細胞内に存在し、摂取した栄養素から体に必要なエネルギーをつくり出す力を持っています。中でも卵子は体の細胞のうち一番多くのミトコンドリアが存在していることから、大きな影響を受けるのです。そのため、卵子の質を良くするにはミトコンドリアの働きを良くする必要があります。

——ということは、腸内と膣内の環境を整えることが大事ですね。

その通りです。腸内環境が乱れて消化・吸収が悪くなると腸内に炎症が起きます。するとミトコンドリアの働きが落ちてしまうので、炎症を起こさない、もしくは抑える栄養素を摂取することが、結果として卵子の質を良くすることにつながります。
一般に妊活時に摂るとよいといわれるビタミン、ミネラル、葉酸はミトコンドリアの働きを良くする栄養素です。特にビタミンDは免疫を正常化したり、受精卵を子宮に着床させやすくする効果があります。葉酸は妊娠初期に不足していると赤ちゃんの神経系の発達に影響することがわかっているため、妊活中の方は推奨されている1日400μgを目安に摂取するとよいでしょう。
そのほか、腸を整える意味で食物繊維、発酵食品など。また青魚に多く含まれるオメガ3は炎症を抑える働きがあります。
美容・アンチエイジング専門医・黒田愛美さん 「隠れ炎症」を防いで「妊活」の効果を高める

妊娠に向けた体づくり、ここに気をつけて!

——では反対に、避けたほうがよい栄養素があれば教えてください。

気をつけたいのは水銀、鉛、カドミウムなどの有害重金属類です。これらは体内に蓄積されると早産や赤ちゃんの発育に悪影響をもたらします。あまり知られていませんが、少し前まで歯の治療で使われていたアマルガムと呼ばれる銀色の詰め物には水銀が含まれていることがあるため、妊活を始める際にはチェックするとよいと思います。

——そのほかにチェックしておくとよいことはありますか。

体に炎症があるとミトコンドリアの働きが落ちてしまうので、慢性的な炎症を起こす可能性がある病気や症状に気をつけましょう。
例えば、扁桃腺炎や副鼻腔炎、上咽頭炎といった病気のほか、胃炎をもたらすピロリ菌、肺炎を引き起こすマイコプラズマなどは知らないうちに体内に炎症を広める要因となるので、医師に相談することをおすすめします。
美容・アンチエイジング専門医・黒田愛美さん 「隠れ炎症」を防いで「妊活」の効果を高める

妊活時の食事&生活習慣は「無理をしない」こと

——毎日の食事や生活習慣でどんなことを心がけたらよいでしょうか。

前回の記事でご紹介した腸内環境を乱す食材は摂り過ぎないこと。加えて重金属を摂取しないように、大型の魚(マグロ、キンメダイ、カジキ、クジラなど)は避けるとよいでしょう。
また、忙しくてつい加工食品を利用することがあると思うのですが、保存料が含まれていると体内の善玉菌を壊してしまうのと、ミネラルの吸収障害を起こす可能性があるのでできるだけ使わないようにしていただきたいです。
あとは運動不足や睡眠不足、ストレスを避けること。
反対に積極的に食べていただきたいのは、「まごは(わ)やさしい」といわれる食材です。
ま:豆、豆製品
ご:ゴマ
は(わ):ワカメ、海藻
や:野菜
さ:魚、貝類
し:シイタケ、キノコ類
い:イモ類
ほかには腸内環境を整えるのに役立つ、乳酸菌やビフィズス菌、消化酵素、アミノ酸など。
美容・アンチエイジング専門医・黒田愛美さん 「隠れ炎症」を防いで「妊活」の効果を高める
これは不妊外来での経験則ですが、不妊に悩む方は腸内環境が良くないケースがほとんどでした。まずは病院で、有害重金属の有無や腸内環境の状態、不足する栄養素など自分の状態を確認して、それに合わせて食事や生活習慣を見直すことをおすすめします。
そして、KNOW YOUR ORIGINの「Beauty Charge -Femcare-」に含まれる「ヒト幹細胞培養液」は細胞(粘膜)に良い影響を与えることがわかっているので、膣内の免疫を向上させて膣内環境を整えることが期待できると思います。
最初にお話ししたように、妊活ではストレスを溜め込まないようにすることが一番大事です。「知っている」のが大切であって、無理はしないこと。体を温めたり、アロマや瞑想などを取り入れてリラックスする時間をつくり、心と体を健康な状態に保ちましょう。





Profile

黒田愛美(Aimi Kuroda)

東京⼥⼦医科⼤学内分泌乳腺外科、⿇酔科を経て、現在は美容・アンチエイジング専門医として活躍。「中からと外からの美容と健康」を信念に、外⾒へのアプローチと、予防医学や栄養学に基づく体の中へのアプローチの両⾯で「患者様の美と健康」を追求している。トライアスロン⽇本代表に選ばれたこともあり、著書には『アスリート医師が教える 最強のアンチエイジング⾷事術51 運動術26』(⽂藝春秋)がある。

公式インスタグラム:https://instagram.com/kurodaaimi/
公式ブログ:https://ameblo.jp/kurodaaimi131/