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美容・アンチエイジング専門医・黒田愛美さん
腸活だけでは不十分!? 「膣ケア」で相乗効果を

美容と健康の両面で大きなトレンドとなっている「腸活」。腸に良い影響を与える発酵食品を食事に取り入れるなど、腸内の環境を整えるための生活習慣を表す言葉です。腸内環境を良好に保つと、さまざまな体の不調が解消されることから近年、注目度が増しています。

では、なぜ腸内環境を整えると体に良いのでしょう。

そして、この腸内環境の状態が、女性にとって大切な膣内の環境にも影響を及ぼすことを知っていますか?

今回は、美容・アンチエイジング専門医で、分子栄養学などの観点から体づくりとアンチエイジングを提唱している黒田愛美さんに、腸内環境と膣内環境のこと、正しいケアについてお話を伺います。

【目次】

・関係し合う「腸内環境」と「膣内環境」

・日常のケアが健やかな「腸内」と「膣内」をつくる

・セルフケアアイテムで腸活&膣ケアをより効果的に


関係し合う「腸内環境」と「膣内環境」

——美容や健康のために腸内環境に関心を持つ人が増えています。“腸内環境が整う”とは、どのような状態ですか。腸内環境が悪くなると体にどんな影響があるのでしょうか。

乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌が多く、腸内で有害な物質をつくる悪玉菌がほぼいない状態を、腸内環境が整った良い状態といいます。

腸は免疫の60%を司る臓器です。そのため、腸内に悪玉菌が増え炎症が起こると、腸の機能が衰えて免疫が低下し、結果として病気にかかりやすくなるのです。

また、腸が本来の機能を発揮できなくなると消化・吸収に悪影響が出て、食べても栄養を取り込めないばかりか、食べたものによって腸内が炎症を起こし、体のパフォーマンスが落ちます。これには、私たちの体をつくる細胞内に存在する「ミトコンドリア」という器官が関係しています。ミトコンドリアは、摂取した栄養素から体に必要なエネルギーをつくり出す力を持つのですが、腸内環境が乱れて炎症が起きるとこの働きが妨げられ、エネルギーが生成されなくなるため、体そのものの働きが落ちてしまうのです。

——膣内にも同じことが言えるのでしょうか。

そうですね。膣の場合は、ラクトバチルス菌やデーデルライン桿菌といった乳酸菌が常在し、膣内を弱酸性(PH3.8〜4.5)に保つことで、清潔で健康な状態を維持しています。

ところが、常在菌のバランスが崩れてカンジタ菌などの悪玉菌が優位になると、健康な状態を保てなくなり、膣炎を引き起こしたり、デリケートゾーンのかゆみ、おりものが増える、匂いが強くなるなどの症状が現れます。

反対に、膣内環境を良い状態に保てば、性感染症の予防やデリケートゾーンの悩みの改善などが期待でき、着床率や妊娠率にも良い影響があるといわれています。

ここで一つお伝えしたいのは、腸と膣は隣り合っているため常在菌が行き来します。ですので、健康な体づくりには腸内と膣内の環境が共に良い状態であることが大事なのです。

日常のケアが健やかな「腸内」と「膣内」をつくる

——腸内と膣内の環境を整える、効果的なケアはありますか。

どちらにも共通して言えるのは、善玉菌の働きを阻害する習慣、例えばストレスを抱えたり、睡眠不足、運動不足を避けることです。

その上で腸内環境から見ていくと、やはり食べ物に大きな影響を受けるので、砂糖、小麦(グルテン)、乳製品、加工食品、アルコール、スナック類などのトランス脂肪酸を含む食材を摂り過ぎないように心がけましょう。

膣内環境においては、1日1回、デリケートゾーンをきちんと洗い、清潔に保つこと。けれども洗い過ぎはかえって悪影響を及ぼすので、デリケートゾーン用のマイルドなソープなどを使用してください。

いずれにしても、「〇〇をしなければならない」と制限をかけ無理をすると、それがストレスになり、せっかくのケアも台無しになってしまいます。ストレスにならない範囲で日常に取り入れることがおすすめです。

セルフケアアイテムで腸活&膣ケアをより効果的に

——最近ではサプリやデリケートゾーン用のフェムケアアイテムが数多くありますが、効果はあるのでしょうか。

サプリやフェムケアアイテムは上手に活用すれば、腸内環境、膣内環境を良好に保つ手助けをしてくれます。

例えば、KYOの「Beauty Charge -Femcare-」に含まれる「ヒト幹細胞培養液」は、再生医療に用いられる原料で細胞(粘膜)に良い影響を与えることがわかっているため、膣に塗布することで膣の粘膜に働きかけ、細胞の若返りや免疫の向上が期待できると思います。

一方のサプリに関しては、善玉菌が腸内でつくり出すビタミンB類をサプリで補ったり、善玉菌そのもの(プロバイオティクス)や、善玉菌の餌となる食物繊維(プレバイオティクス)などを摂取することによって、善玉菌の働きが弱いときでもそれらの栄養素を補うことができ、腸内環境を整えるサポートの役割を果たします。

但し、同じ栄養素を掲げたサプリでも目的とする成分の含有量が少ないものもあるので、価格だけで判断するのではなく、添加物を含んでいないかも併せて成分表記をチェックしてみましょう。栄養療法をおこなっているクリニックで処方してもらうのもよいですね。

 

Profile

黒田愛美(Kuroda Aimi)

東京⼥⼦医科⼤学内分泌乳腺外科、⿇酔科を経て、現在は美容・アンチエイジング専門医として活躍。「中からと外からの美容と健康」を信念に、外⾒へのアプローチと、予防医学や栄養学に基づく体の中へのアプローチの両⾯で「患者様の美と健康」を追求している。トライアスロン⽇本代表に選ばれたこともあり、著書には『アスリート医師が教える 最強のアンチエイジング⾷事術51 運動術26』(⽂藝春秋)がある。

公式インスタグラム:https://instagram.com/kurodaaimi/
公式ブログ:https://ameblo.jp/kurodaaimi131/