漢方薬剤師・大久保愛さんが伝える
8月のセルフメディケーション

vol.4 紫外線による疲労&不調は食薬で小まめに対処する

8月といえば、夏のレジャーで外出の機会が増えますよね。コロナ禍で数年間中止されていたお祭りや花火大会などのイベントが再開されるところも多いようですし、バーベキューやマリンスポーツ、グランピングといったアウトドアレジャーを楽しんだりと、思い出がたくさんできる月だと思います。

【目次】
・心と体の傾向
・起こりやすい不調
・悩み解決メディケーション


心と体の傾向

楽しい夏は長いようであっという間に過ぎていきますが、体に夏が来た爪痕をしっかりと残していきます。強い紫外線、エアコンによる冷えや乾燥、外出が面倒になるほどの暑さ、食材を傷みやすくする高温多湿の環境などが、夏がもたらす外的ストレスです。

暑さは9月末の秋分の日あたりまで続くため、小さな不調だとしても、その都度解消していかなければどんどん不調は積み重なり、治りづらい強固なものとなってしまいます。

近年では、8月の後半に台風やゲリラ豪雨などが増えているため、低気圧・高温多湿の環境に影響される「脾」をサポートすることが、健やかな毎日のために必要となります。

漢方薬剤師・大久保愛さんが伝える 8月のセルフメディケーション

起こりやすい不調

とはいえ夏は明るい日差しが降り注いで前向きなマインドになり、やりたいことや人との交流も増え、開放的な気分になる季節です。そのため、アクティブに動き回り、強い太陽の光を浴びるタイミングが増えることでしょう。紫外線はお肌のトラブルだけではなく、体内で疲労物質である活性酸素を発生させるため、疲労を感じる人も多いのです。

炎天下の中、運動をしているわけでもないのにドッと疲れを感じることってありますよね。体を動かすエネルギーを作るミトコンドリアもダメージを受けてしまうことにより、目や体の疲れ、思考の低下、頭痛などを引き起こすことがあります。目から入る紫外線も全身に作用するのでサングラスも必須です。

そして、紫外線による刺激に、冷房の効いた室内と外気の激しい温度差が加わると、自律神経の乱れが加速します。

8月は強烈な太陽のパワーに美肌と気力と体力がどんどん奪われていく月なのです。

漢方薬剤師・大久保愛さんが伝える 8月のセルフメディケーション

 
また漢方医学では、夏は「心熱」が生じることから、感情が高ぶって寝つきが悪くなるなど、睡眠の質が悪くなることがあるとされています。その結果、食欲をコントロールするレプチンやグレリンの分泌量にも影響を及ぼし、食欲が増してしまうこともあります。

運動量が減りやすい夏に食べ過ぎてしまったら体重は増える一方ですよね。だるくて、肌の調子が悪くて、太ってしまうなんてトリプルパンチを受けないように対策をしていきましょう。


悩み解決メディケーション

酷暑による強い紫外線、高い気温、体温調節の不調により「心熱」がこもりやすいときには、常に「清暑益気」していくことが元気にすごすポイントです。

香りや色に特徴のあるトマト、ナス、オクラ、バジル、ゴーヤなどの夏野菜には、抗酸化作用のほか、抗炎症、清熱の作用を持つファイトケミカルが豊富であり、夏のダメージから身体を防御するのに役立ちます。

漢方薬剤師・大久保愛さんが伝える 8月のセルフメディケーション


さらに、暑さと汗で消耗するミネラルや気力を補うために、ミネラルやオメガ3脂肪酸、タンパク質を多く含む青魚や貝類などを取り入れて、身体の土台を強固なものにしていきましょう。

また、夏といえば抗酸化力をキープすることの重要性は皆さんご存じだと思います。ですが、食材から得られる抗酸化パワーは長期的に持続するわけではありません。そのため、頻繁に摂る必要があります。

抗酸化作用の高いクルミやアーモンドなどのナッツ、高カカオチョコレート(カカオ70%以上)、ミニトマト、ルイボスティー、ローズヒップティーなどを日頃のおやつや水分補給に取り入れ、意識的に抗酸化力のあるものを頻繁に摂取するようにしてみましょう。

 

 

 

Profile

漢方薬剤師・大久保愛さんが伝える 8月のセルフメディケーション

大久保 愛(Ai Okubo)

薬剤師、漢方カウンセラー。北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとする医療と美容の専門家として商品開発や執筆、企業コンサルティングなどに携わる。

公式インスタグラム:https://www.instagram.com/aivonne85/

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