Focus>>「limerime」開発者・須藤紫音さん
今後の自分の体にとって良い選択肢を知る大切さ

new + be [新しいあり方] をコンセプトに、2023年1月に誕生した衛生用品ブランド「limerime(ライムライム)」。天然の竹素材を使用したパンティライナーと吸水パットは、体にも環境にも優しいプロダクトとして、取り扱うショップが増えています。

共にデリケートゾーン向けのケアプロダクトを展開し、女性のウェルネスを支えるブランドであることから、KYOとのコラボレート企画が実現。そこで今回は、「limerime」を手掛ける株式会社VVV代表の須藤紫音さんに、お話を伺いました。

——これまで数々のブランドをクリエイティブによってサポートされてきた須藤さんが、なぜ「limerime」を立ち上げたのでしょうか。

きっかけは大きく二つあります。一つは、12年前に妊娠・出産を経験し、生まれてきた息子が食物アレルギーを持っていたことです。食べるものや肌に触れるものが与える影響について深く考えるようになり、同時に「私が意識的な生活を送っていれば、息子の体質も違ったのかな……」と、子どもが育まれる場所である子宮、ひいては母親の体と健康に関心が向きました。

もう一つは、ブランディングやマーケティングを手掛ける中で、多くの女性たちと話す機会があり、“満足しているわけではないけれど買っているもの”の代表が衛生用品であることに気づいたのです。女性の大切な器官であり、デリケートな部分に使用する必要不可欠な衛生用品であるにもかかわらず、なんとなく購入している方が多いという事実に唖然としました。

これらの経験から、機能、利便性、安全性、サービスといったあらゆる面で良いと思える、現代女性が求めるプロダクトをつくることの重要性を感じたのです。

——現在はパンティライナーと吸水パットを展開していますが、開発でこだわった点は。

一番は「肌触り」です。快適に過ごす上で重要なポイントだと考え、サラサラとした肌触りの良さに加えて、抗菌・防臭効果あるといわれる「竹」の繊維をトップシートに採用。吸収体にはウッドパルプを用いました。かゆみ、かぶれ、ムレ、ニオイを感じにくく、また製造工程で化学物質を使用していないことから、敏感肌や乾燥肌の方にも優しい衛生用品になっています。

石油由来の吸収体(ポリマー)と比べて吸収率は若干劣るのですが、アイテムの特性として「果たして長時間使用できることが最適解なのか?」を考え抜いた結果、小まめに取り替えることが衛生面での安全につながるといった意識や価値観の啓蒙にもなればと思い、働く女性の利便性にも配慮しつつ、考えるきっかけを生むプロダクトにしました。

——KYOとのコラボで期待することは。

正直にお話しすると、体に関する知識を持っているだけに「Beauty Charge -Femcare-」に初めは抵抗がありました。でも使ってみたところ、翌日の体の調子が良く、回復力を感じました。

期待値の高いフェムテック市場には、多くの女性たちが自身を表現する形で起業し参入していますが、まだそれぞれが点の状態で発信力が弱く、理想とする社会を実現するためには横のつながりが重要です。プロダクト開発だけではなく、社会の既存の価値観や人々の意識の変容を働きかける、KYOさんのような弊社と同じイメージを描く企業と協業することでお互いを高め合い、ユーザーに伝えるべきことを伝えられる場を広げていけるといいですね。

——須藤さんが目指す社会についてお聞かせください。

フェムテックへの関心が高まったこともあり、あらゆる面で女性の選択肢は増えているように感じます。一方で情報にリーチできていない方も多く、たくさんの方に浸透させていきたい思いが強いです。

例えば月経でいえば、外部からの情報よりも家族間で伝えられる情報がウエートを占めます。つまり母親が持つ情報や意識がそのまま子どもへ受け継がれるのです。そのため、2、3世代で使用できる衛生用品を通じて、親の世代から正しい情報に触れられる環境を整備する必要があると考えています。

10代、20代のまだ性教育の知識も浅い年代のうちに、自分の子宮環境、そして自分の体に対して目を向け、意識を持ってさまざまな選択肢の中から今後の自分の体によって良いと思うものを選ぶことができるように発信を続けていきたいです。

「limerime」ではパッケージのデザインや素材にもこだわっていますが、それらも「衛生用品は隠すもの」という固定観念を払拭することや、生分解性素材を用いることで環境への配慮はもはやベーシックであるということをブランドとして表現しています。

——最後にメッセージを。

KYOのプロダクトに興味を持たれた方は、自分の体に対する意識が高い方だと思います。ですので、プロダクトやブランドの考え方を広めて、一緒に体について話す仲間を増やし、相談できる環境を整えていただけるとうれしいです。

月経痛一つとっても、何かの病気が隠れている可能性があります。そうした、痛みや小さな悩みを放置せずに済む社会を、私たちと共につくっていきましょう。




Profile

須藤紫音(Shion Sudo)

株式会社VVV(ブランド:limerime) 代表取締役。クリエイティブを軸に、大手スポーツブランドやコスメブランドのブランディング・プロジェクトマネジメントを行い、2021年株式会社VVVを設立。
limerime公式サイト:https://limerime.com/
limerime公式Instagram:https://www.instagram.com/limerime_official/