「ラブストア」で楽しむ、
みんなのセクシャルウェルネス
〜パリで見たフェムテックの今をレポート②〜

数あるフェムテックの話題の中でも、日本で新鮮に受け止められているのが「セクシャルウェルネス」の分野。セクシャルウェルネスはその言葉の通り、性にまつわる健康のこと。
同性同士であっても性を語ることがタブーとされてきた日本では、フェムテックという言葉が浸透し始めてから注目されるようになりました。
パートナーとのコミュニケーションを充実させたり、自身の欲求を満たしたりするさまざまなアイテムやサービスなどがセクシャルウェルネスの分野に該当します。
パリレポート②では、いわゆるセックストイを取り扱う、見るからに入りにくい(アダルトな雰囲気を醸し出す)店ではなく、明るく楽しく、ユーモアにあふれているラブストアの「パサージュ・デュ・デジール」の模様を紹介します。

気軽に入れるセクシェルウェルネスショップ

「パサージュ・デュ・デジール」は2006年に創業した、ラブアイテムのセレクトショップ。今ではパリに6店舗、ボルドーやリヨン、マルセイユなどフランス中に店舗を構えており、コロナ禍はオンラインストアの売上が好調だったといいます。
今回訪れたのは、LGBTQフレンドリーなエリアとして知られるマレ地区にある店舗。来店した18時頃には、カップルで店内が賑わっていました。

セルフプレジャー用のセックストイからマッサージジェル、ランジェリー、本、ちょっと笑える小物まで幅広く取り扱われており、今までのセックストイのショップの概念を覆す明るい店内が特徴です。
まるでコスメのセレクトショップのような店内で、気軽に入りやすい印象を覚えました。

思わず目に留まったこちらのアイテムは、春画をモチーフにしたマッサージジェル!
日本人観光客のお土産としてピッタリかもしれません。
その他には、セックスの手法が描かれたカードゲームや性器の形をしたポップなキーホルダーなど、ユーモアあふれるアイテムも数多くラインナップ。友人同士でワイワイ楽しめそうな雰囲気が新鮮です。

セクシャルウェルネスの話になるとセックス=快感、異性との愛といった発想になりがちですが、実はそれだけを指すものではありません。
例えばランジェリーひとつをとっても、自分のテンションを上げたり、パートナーとのセックスを楽しんだり、心身を快適に保ったり、多くの価値を見出すことができます。
同店ではその点をきちんと押さえており、一方的に「女性を性的に魅力的に見せるもの」としてセクシャルウェルネスのアイテムを扱うのではなく、フラットに提案しているところに心地よさを感じます。

同じようにセックストイも「怪しくていやらしいもの」ではなく、性のコミュニケーションを楽しむものとして、1人用やLGBTQ用など、さまざまな種類が販売されています。
中には数万円もする最新テクノロジーを兼ね備えたセルフプレジャー用アイテムも……!

「パサージュ・デュ・デジール」は、心身の健康に結びつくものとして「性」が捉えられていると感じることができる空間でした。
店内には老若男女さまざまなお客が楽しそうに商品を見たり、店員があれやこれやと商品を熱心に提案し、それを聞いたカップルが真剣に悩んでいたり、セクシャルウェルネスが人々の生活のそばにある光景をうかがい知ることができました。

次回は、パリを代表する百貨店で目撃したフェムテック事情をレポートします!