NYレポート01 Women’s Health and Wellnessが見直されるアメリカ

渡米して23年を迎える、フリーランスライターのTOMOです。アメリカでは最近、これまでになく「Women’s Health and Wellness」という言葉を頻繁に耳にするようになったと感じます。
これは、女性が一生を通じて心身が健康な状態であることを表す言葉で、思春期(性教育)、生理、避妊、妊娠・出産、婦人科系疾患の予防、メンタル・ヘルス、更年期、セクシュアルウェルネスなど、多様なイシューが含まれます。
コロナ禍を経て、女性をめぐるさまざまな問題(望まない出産や堕胎、パートナーとの関係の在り方、性暴力(DVを含む)、メンタルヘルスなど)が浮き彫りになり、この言葉が再認識されることになったようです。
またアメリカでは2022年6月、最高裁が妊娠中絶を違憲とする判断を下したので、「自分たちの体と生命を守る権利が脅かされている!」と、女性たちが強い危機感を覚えたのかもしれません。

女性のQOL改善にテクノロジーを活かす

Women’s Health and Wellnessには、女性特有の疾患を予防するための医療機関での検査(婦人科検診やマンモグラフィーなど)が含まれるのはもちろんのこと、生理や妊娠・出産、更年期における体の変化・変調に対する負担を軽減し、生活の質(Quality of Life、QOL)を向上させ、乗り越えようとする取り組みも含まれます。

先日、私と同様に在米20年を超える友人が体験した「膣活」もそのひとつ。加齢や出産などで緩んでしまった骨盤底筋を、ツールを使って鍛え直すそうです。
シリコン製の小さな重りを膣に入れ、毎日15分間、膣の周りの筋肉をきゅっと引き締めるトレーニング。重りとアプリが連動しており、スマホでワークアウトのメニューを管理したり、骨盤底筋の強さを計測してワークアウトの効果を測定できるツールもあるのだとか。
なぜ膣活が注目されているのかというと、膀胱のコントロールをはじめ、体幹や骨盤底筋の強化が性生活の向上にもつながるからだといいます。

そのほかにも、スマートウォッチで手首の温度を測ることで排卵のタイミングを把握し、妊活に活用することができるアプリがあったり、乳房を温めながら深部までもみほぐして乳管の詰まりを解消し、母乳を出しやすくするマッサージ器なども登場しており、テクノロジーを用いた多彩なグッズが妊娠を望む女性や新米ママたちの心強い味方になっているようです。

FemTechの進展はまだこれから

このような、テクノロジーを女性の健康やQOL向上に役立てようとする一連の分野は「FemTech」と呼ばれ、NYでもここ数年、注目を集めています。ある専門調査会社によれば、FemTechのグローバル市場は、2025年までの5年間で年平均13.3%もの成長を続け、751億ドルもの規模に達すると見込まれています。
テクノロジーによって女性特有の問題が軽減・解決され、本来持っている力を発揮できるようになると思うと、なんだかワクワクしてきませんか?

これから毎月、NY発、Women’s Health and WellnessとFemTechに関する最新情報をお伝えしていきます。皆さんの心と体の健康に、少しでも役立てていただけたらうれしいです!

 

 

Writer’s Profile

松本 知(Tomo Matsumoto)

フリーランスライター。1999年に留学のため渡米し、コミュニケーション論を学ぶ。2001年よりニューヨーク在住。