原点ケアの秘訣 ヒト幹細胞培養液

美容クリニックやエステ、コスメなどでよく聞かれるようになった「幹細胞」。 幹細胞とは自分自身で分裂、増殖、修復する機能を持つ細胞のことで、体の中で失われた組織や細胞を補う働きがあることから、「再生医療」として病気やケガの治療のほか、アンチエイジングなど美容の観点からも注目されています。

コスメをはじめとするセルフケアアイテムによく用いられる「幹細胞培養液」は、 この幹細胞を培養する過程で生じる上澄み液(上清液)。幹細胞から分泌されたサイトカインなどのさまざまな成⻑因子(細胞のアクティビティを高める栄養成分、タンパク質の一種)が豊富に含まれているため、直接塗布することで肌や体 の悩みに対するアプローチが期待されているのです。

ヒト由来のメリット

幹細胞は、大きく「ヒト幹細胞」「植物幹細胞」「動物幹細胞」の3つに分かれます。医療や美容の現場ではヒト由来の 「ヒト幹細胞」を使用するケースが多く、これには理由があります。

私たちの体は37兆個の細胞でつくられているといわれていますが、一つひとつの 細胞の表面には細胞の性質ごとに異なる形をしたカギ穴(レセプター)があり、 このカギ穴にしっかりと結びつくカギ(リガンド)を持つ物質でなければ受け取ることができません。つまり細胞が活性化するには、ぴったり合うカギを持つ物質が不可欠なのです。

植物の細胞は仕組みが異なることから、培養液に含まれる因子もカギを持ちません。また動物の細胞はタンパク質の形がヒトとは違うため、カギの構造が変わり、 受け取りにくいといわれています。 ヒトの細胞からつくられた栄養成分(因子)だからこそ浸透しやすく、成分を届けやすくなると考えられています。

細胞活性化のキー成分「サイトカイン」

ヒト幹細胞培養液に豊富に含まれる「サイトカイン」は、それぞれ異なる性質を持っています。例えば、化粧品などで使われるEGF(上皮細胞増殖因子)は表皮の 細胞と結びつきやすく肌のターンオーバーを整える効果があり、FGF(線維芽細胞 増殖因子)は真皮の線維芽細胞を増殖させコラーゲン繊維をつくりだす働きがあ ります。

このようにサイトカインは1種類だけ見ても効果があるのですが、異なる性質とカギを持つ多様なサイトカインが集合することで、さまざまな細胞が成分を受け取 れるようになり、相乗効果を発揮することが期待されます。

医療や美容の世界でヒト幹細胞培養液が注目されるのは、こうした私たちの原点である細胞に直接働きかける可能性を秘めているという理由があるからなのです。