Focus>>ボディワーカー・ソネ ジュンコさん
“一瞬の勇気”で毎日を楽しく! 好奇心と変化を恐れない心で私らしく生きる<後編>

離婚、倒産、貧苦を乗り越えたと思ったら、61歳で突然のがん宣告——。
そんなつらい経験を微塵も感じさせず、72歳の現在、ボディワーカーとして自分のスタジオを持ちながら、ひとり暮らしを心ゆくまで楽しむソネ ジュンコさん。
年齢を言い訳にしないアクティブなソネさん流のライフスタイルをまとめたエッセイ『71歳、団地住まい 毎朝起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)は、多くの女性の共感を呼んでいます。
前編に続いて、後編ではがん闘病を経てたどり着いた、ソネさんの美と健康の秘訣をご紹介します。

【目次】 

・セルフケアで自分に自信をつける
・楽しい未来のために、嫌なことは削ぎ落とす!

セルフケアで自分に自信をつける

——プレ更年期〜閉経と女性の体が変わる40〜60歳のタイミングで、離婚、倒産、がん闘病と厳しい経験をされています。どうやって自分の心や体の変化と向き合ってきましたか。

私の場合、更年期に見られる不調は特に感じなかったんです。生活することに一生懸命で、感じる心の余裕がなかったのかもしれません(笑)。それに、更年期から閉経の時期に起こるさまざまな不調は、女性ホルモンが急激に低下することによるものですよね。もしかしたら、ボディワーカーとして筋トレを続けてきたのが影響してるのかなとも思います。
皆さん、筋トレというと息を切らしておこなうようなハードなものを想像しますよね。でも私がやってきたのは、女性特有のやわらかさを意識したトレーニングなんです。女性ホルモンが減ると筋肉量が減るように、二つは関わり合っています。また、緩やかな筋トレをおこなうことで体の巡りが良くなり、女性ホルモンの分泌を促すともいわれています。
私はこの筋トレを40代半ばからずっと取り入れてきたので、筋肉量も減らなかったし、更年期の不調も感じずにすみました。それと心の面でいうと、いくつになってもボディラインをキープしておくと、自信になるんですよね。

ソネジュンコ

——素敵な考え方ですね。「KNOW YOUR ORIGIN」でもインスタライブで骨盤底筋を鍛えるエクササイズが好評です。

骨盤底筋を鍛えると姿勢を維持しやすくなりますし、尿漏れや子宮脱を防ぐのにも役立ちます。私は尿漏れ予防セミナーを開いて骨盤底筋のトレーニング方法を教えていますが、それは簡単にいうと「和式トイレを不安なく利用できるようになりましょう」というものです。
今でこそ優秀な生理用品はたくさんありますが、私の母の時代は脱脂綿を使用したり、もっと昔は経血を自分の筋力で止めるしか方法がなかった。そのうえトイレは和式でしゃがまなくてはいけない。だからこそ、必要な筋肉が鍛えられていたのです。さすがにそこまでする必要はありませんが、和式トイレに座るような深いスクワットを不安なくできるようになれば、ある程度必要な筋肉は鍛えられるのではないかと考えています。 

——気になります! どんなトレーニングなんですか?

いきなりだと意外とできない方も多くて。私は3段階で体を整えて、深いスクワットができるように教えています。
1段階目は、足指の間に手の指を入れて手を握るようにする。これで足首がやわらかくなって動ける体の下地が整います。2段階目は股関節と座骨周りの筋肉をやわらかくするために、骨盤を立ててあぐらを組む練習。そして最後に深いスクワットで太ももと脚の筋肉を鍛えるという流れでおこないます。
体への不安がなくなると、「外出中に膝が痛くなったらどうしよう」とか、体を理由にやりたいことを躊躇することがなくなります。自分に自信が持てるようになるんですよね。

楽しい未来のために、嫌なことは削ぎ落とす!

——ソネさんは食事による体づくりにも熱心ですよね。

もともと食への関心は高いほうでした。でも闘病生活を通して、考えすぎて無駄な努力をしていたことに気づいたので、基本的にはできるだけ手作りして、腸内環境を整えることを意識するだけです。自分にとってのベストな食事回数を見つけることもおすすめですし、外食のときは思いきり楽しんで後から調整するようにするとストレスも溜まりません。
腸内環境の観点でお話しすると、私はパンではなく玄米を摂るようにしています。玄米だと胃腸に負担がかかる人は雑穀やもち麦を混ぜると食物繊維が摂れます。まとめて炊いて小さなおむすびにして冷凍しておけば、忙しいときにも便利です。
お手軽なのは醤油こうじ。作り方も簡単ですし、食材を茹でたり焼いたりしたものにかけるだけで美味しい一品になりますよ。


——「KNOW YOUR ORIGIN」は、女性が自分らしく生きていくための心と体づくりをサポートすることを目指しています。日々頑張る女性の皆さんにメッセージをお願いします。

例えば、自分がみじめで恥ずかしい思いをしたとしても、それでうつむくのではなく、「これならできる」「ここなら通用する」を探してみてください。大切なのは“そこからどうするか”。自分のためにマーケティングして、目標に向かって自分を高めていくほうが、落ち込み続けているより楽しい未来が待っています。
私はできればあと10年は現役でいるつもりですが、自分が死んだ後に、子どもたちから「お母さんはいつも楽しそうだったね」と言われたいと思っています。私の母は裕福でしたが、ちっとも楽しそうじゃなかった。だから私は楽しそうなイメージを残したいんです。
そのためには心から楽しまなきゃいけない。なので嫌なことは削ぎ落としました。いらないと思う人間関係は絶って、気の進まないところには行かないとかね。自分がワクワクできないことはやるべきじゃない、時間がもったいないと思っています。
けれども、実際に行動に移すのは難しいですよね。でも必要のない我慢を続けることはないし、不安を乗り越えるのに“一瞬の勇気”を持てばいいだけです。それでずっと続くかもしれないつらさから解放されるなら一歩踏み出せませんか。その先には楽しさが待っていますよ。

(写真/川瀬典子)


Profile

ソネ ジュンコ(Junko Sone)

1952年大阪府生まれ。ボディマイスター。離婚や貯金ゼロ、がん闘病など波瀾万丈の半生を乗り越え、小さなことは気にせず、料理・手芸・洋裁・DIY・パソコンなど、お金をかけずに今を楽しんで毎日を送っている。

公式インスタグラム:https://www.instagram.com/studio.sone/

スタジオ公式Webサイト:https://www.studio-sone.com


ソネ ジュンコ/著
『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』
ダイヤモンド社/刊